らくだ珈琲、一年の歩み

サイトの土台となる「ことば探しPro」を実装した2026年3月からの歩みです。

名前になった理由

「らくだ珈琲」という名前は、二つの言葉からできています。

「らくだ」は、ハンドルネームを考えていたときに浮かんだ、「灰汁から出汁(あくからだし)」という言葉から来ています。利用価値がないと思われて捨てられるものが、実はすごく有用なものだった——そんな響きが、しっくりきました。言葉を入れ替えて「明石らくだ」となり、読みにくいので「らくだ」だけが残りました。

「珈琲」は、今は亡き妻と、喫茶店でおしゃべりするのが好きだったことから付けました。誰かと言葉を交わす、あの時間の心地よさを、この場所にも持たせたいと思いました。

ファンマークの🐫☕は、最初に常連になってくれた、不登校の中学男子が提案してくれたものです。意味もわからないまま付けて、それが今も、この店の印になっています。

芸のない配信者だった

配信を始めたのは2024年9月、TikTokでした。仲の良い友だちに誘われて、ライバー事務所の所属として、話だけのつもりで始めました。

でも、慣れない雑談配信では、通り過ぎる人ばかりで、足を止めてくれる人がいませんでした。歌えるわけでも、面白い話芸があるわけでもない。心が折れそうになりながら、何か、話のきっかけが欲しくて出会ったのが、無料の「文字探し」というパズルでした。一人で黙々と解いていると、少しずつ、参加してくれる人が現れました。

サーバーがダウンした日

「文字探し」を、同期という仕組みを使ってLIVEで試したとき、思っていた以上の反応がありました。数秒で、サーバーがダウンし、配信を続けられなくなりました。

その瞬間、嬉しさと怖さが、同時にやってきました。自分のゲームや配信が、こんなに受け入れてもらえているのだと、初めて実感できた嬉しさ。そして、みんなの期待に応えたいと思うと同時に、これから先、物事を解決するには、お金が要るのだという、怖さです。

この経験もあったことから、「ひと言探し」という新しい機能を作りました。同じ問題を大勢で同時に解く仕組みは、当時、安定して動くのは、せいぜい10人程度が限界でした。改良を重ね、今は、お題によって差はありますが、多いときで20人まで、一緒に遊べるようになっています。

しゅっせき簿は、店の全て

配信を始めた頃から、TikTok時代を含めて、長い人だと毎日のように来てくれる人たちがいます。何物にも代えがたい、ありがたい人たちです。その人たちに、数字で報いることは、配信者として、店の管理者として、当然の責任だと思っています。

「しゅっせき簿」は、その気持ちから生まれました。遊ぶこと自体は、誰でも無料です。Googleでログインしている方は、トップ画面を開くと、その日のしゅっせきが記録される、来た痕跡を残す場所です。点数でも、順位でもありません。ただ、「来た」ということが、そのまま残ります。

けれど、この仕組みは、今も、簡単ではありません。端末や開き方によって記録が分かれてしまう不具合が見つかり、直しては、また別の課題が見えてくる。今でも、改善を繰り返しながら、少しずつ、利用者に迷惑をかけてしまうこともあります。それでも、この店で、一番大事にしたい場所です。

工夫すれば、たどり着ける場所

遊びを一つずつ増やしていくなかで、大事にしてきた考え方があります。「工夫すれば、必ず報われる」道筋があるかどうかです。

リバーシは、定番の遊びを、流行に流されず長く置いておきたくて作りました。先攻後攻、盤面の色、ハンデ、難易度——工夫の余地を、たくさん残しました。

スライドパズルは、文字の遊びが多かったこの店に、絵を使った遊びを作りたくて生まれました。3×3の、シンプルな作りです。実は、私自身は一度も解けたことがありません。だからこそ、どんな状態からでも、オートで完成まで導いてくれる機能を付けました。工夫すれば、どんな状態からでも、ゴールにたどり着ける——それが、この店で、大事にしたいことです。

一方で、削除した遊びもあります。「文字合わせ」は、いわゆる「上海」の、らくだ珈琲版でした。しばらく置いていましたが、10日ほどで閉じました。理由は、手順を誤ると、最後までたどり着けないことがあったからです。工夫しても、上達を実感できない。運が、全てを左右してしまう。それは、この店に、合わないと思いました。

「起承転結」は、文字だけでなく文章でも遊んでほしいと思って作った企画でしたが、思っていたほどには広がりませんでした。説明が足りなかったのだと思います。2026年9月、この場所を 寺子屋らくだ に置き換えました。今は、昔ばなしを読んだり、そろばん(100マス計算)をしたりする、学びのための部屋になっています。それまでに書いてもらった連続小説は消さずに残していて、入口だけを静かに閉じている形です。

削除するとき、多くは、黙って行いました。「残念」という声を、後から聞くこともあります。胸が痛むこともありますが、全員の希望を、全部叶えることはできません。この店のクオリティは、自分で決めたいという気持ちがあります。

一人では、たどり着けない場所へ

らくだ珈琲でやりたいことの一つに、「大勢で、一つの目標に向かって、協力して進める遊び」があります。同時に大勢で解く仕組みは、最初は、十人前後が精一杯でした。その先に生まれたのが、「富士山チャレンジ」です。同じお題で、それぞれ違う盤面が示され、みんなで一斉に「ひと言探し」を行い、正解の数だけ、富士山を登っていく。最初にLIVEで実施したとき、30人以上が参加してくれました。

いつか、数百人規模のイベントとして、日本中の利用者と一緒に、YouTube LIVEで盛り上がりたい。それが、今の夢です。今のところ、安定して遊べるのはおおよそ20人までで、これは、これまでの経験から決めた上限です。今の仕組みと費用のままでは、数百人規模には、まだ届きません。それは、今、この店が抱えている、大きな課題の一つでもあります。

「せかい一周」は、また違う発想から生まれました。富士山チャレンジは、花火のように、盛り上がって、終わったら何も残らない。それでは寂しいと思いました。「ことば探し」で正解を見つけても、他のどの遊びで遊んでいても、その全部が、飛行機の燃料になる。世界中を、みんなの飛行機が飛んでいく。地図を拡大縮小して眺めながら、その場所の気温を知り、誰かが、思いを馳せてくれたら——そう考えて作りました。

それでも、続けている理由

長年、毎日のように来てくださる方がいます。いまは重い病で床に伏している方もいます。お名前は出しません。配信を続ける理由のひとつに、その人に会いたい、という気持ちがあります。出入りそのものが、伝言でもあります。「僕は今日も元気に生きてるよ」「早く帰ってきて。一緒に楽しくあそぼう。」利用者ひとりひとりに、ここに留まる理由があります。配信を続けることが、その何かの一部を満たしているなら、止められません。

配信を始めた頃、私には芸がありませんでした。歌えるわけでも、面白い話芸があるわけでもない。それでも、文字探しを一緒に解いてくれる人が現れ、サーバーがダウンするほどの反応をもらい、しゅっせき簿という「来た痕跡」を残す場所を作り、富士山チャレンジで30人以上が同じ目標に向かって挑戦してくれる——ここまでの一年は、そうした、一つひとつの積み重ねでした。

正直に言うと、今は、一番大変な時期を過ごしています。楽しんでもらうことと、収益を上げることは、イコールではない。その現実に、正面から向き合っています。今の仕組みと費用のままでは、富士山チャレンジを数百人規模にすることも、まだできません。工夫すれば必ずゴールにたどり着ける、そういう遊びを作ってきたつもりでも、収益という壁の前では、同じようにはいきません。

それでも、この店を閉じようとは思っていません。「できなかったことが、少しでもできたね」。その積み重ねが、いつか、大きな自信になる。ミニゲームでも、極めれば特技になる。競わなくていい。比べなくていい。ただ、やり続けたことが、一番すごい——それを、これからも、伝えていきたいと思っています。

掲出: 2026年9月1日 · 最終更新: 2026年9月14日